新年早々、値上げの話ですみません。1月から油揚げを1袋(2枚入り)1,90ユーロにしました。昨年4月の開業直後、豆腐や厚揚げ、がんもなどを1,90ユーロに値上げした際、油揚げだけは「品質が安定しない」ことを理由に、1,50ユーロの価格を据え置きました。しかし、ようやく満足できる油揚げができるようになったので、豆腐などと同じ値段にさせていただきます。
前にもこの欄で書きましたが、豆腐屋の製品のなかでいちばん難しいのが油揚げです。まず豆腐をつくるときより2倍の水を加えて薄い豆乳をつくります。にがりを打つと、豆腐の小さな破片がたくさん浮いた状態になるので、特殊なザルで何十回も水をかき出し、破片だけを集めて、型枠で固めます。これを包丁で小さく切り分け、すだれに並べて、100kgの重しを1時間かけます。ほどよく脱水できたことを確かめ、まず120°の低温で揚げ、次に180°の高温で二度揚げして、ようやく油揚げが完成します。
手間がかかるうえ、失敗するリスクが少なくないので、日本でも油揚げをつくる豆腐屋が減り続け、いまでは6割ほどの店しかつくっていないと聞きました。手揚げの油揚げは、ふっくらしていて、機械でつくった大量生産品とは味が違います。日本でも1枚90円から100円くらいの値段で売られていますから、当店の「2枚入り一袋で1,90ユーロ」という値段は、さほど違いません。どうぞ、ご理解くださいますよう、お願い申し上げます。