開店の翌週から、自家製の「無漂白もやし」を販売してきましたが、5月8日(土)をもって販売を中止します。
私はもやし炒めやもやしのナムルが大好きです。しかし、開業前にバルセロナで手に入る豆製品を調べたところ、手頃な値段で買える良いもやしがないことに気づきました。安いけれども、しなびたり汚い感じのものか、少量で高価なものに限られています。では、自家製もやしを提供しようと、製造装置を調べました。
ネットで検索して行き着いたのが韓国製の装置です。韓国はナムルの本場だけに、レストランや学校、病院などが自家製もやしをつくっており、そのための装置をいろんなメーカーが開発しています。日本では茨城県のキリスト教会が栽培装置を韓国から輸入して、自家製もやしをつくっていました。教会を訪ねて見せてもらいました。
もやしをつくったことのある方はご存じのように、ひんぱんに水を与えることが秘訣です。韓国製の装置は1時間おきにシャワーが出るだけのシンプルな構造で、手間がかかりません。この装置を韓国から日本に輸入し、さらにコンテナでバルセロナへ持ってきました。
できあがったもやしは、漂白しないので、ほのかな紫色が残り、真っ白な漂白もやしより見た目は良くありません。しかし、そのまま食べてもおいしく、10日間ほど冷蔵庫に入れた後でも腐敗しません。生きているからだと思います。「おいしい」という声もいただきました。
問題は、根を切ったり、豆殻をふるい落とすのに、すごく時間がかかることです。10数袋のもやしをつくるのに1時間かかります。それで、売り上げは10数ユーロにしかなりません。先日、ようやく袋詰めを終えて時計を見たら、地下鉄の終電に間に合わず、タクシーで帰る羽目になりました。タクシー代を払ったら、売り上げとさほど変わらず、情けなくて笑ってしまいました。
こんなことを続けていたら、こちらの健康も維持できません。やむなく製造と販売をやめることにしました。どうぞご了承ください。
店主拝。