豆腐の原料は、大豆と水です。しかし、どちらもバルセロナでは入手が容易でありません。
日本では北米のカナダやアメリカで委託栽培した大豆が主に使われています。栽培を委託するのは、豆腐作りに適した品種を選び、遺伝子組み替えをしない大豆を入手するためです。EU諸国では大豆の栽培が盛んではなく、流通量も多くありません。カタルーニャ州内で穀物卸し業者を捜した結果、まとまった量を入手できるのは、中国産とブラジル産でした。どちらも遺伝子組み替えではなく、「有機栽培」です。両方の大豆で試作して、日本の豆腐に近いものを選びます。
もう一つの「水」は、難物でした。バルセロナ在住の方ならどなたもご存じのように、水道水はカルシウム分がきわめて多い超硬水で、おいしくありません。そこで、カルシウム分を除去する装置で軟水をつくり、大豆を漬ける水や、大豆を砕くときの「引き水」に使って、日本と同じ味が出せるようにしました。豆腐を冷やすための製氷器にも、この軟水を使います。